
Purpose Statementとは?
論文で”最も大切な”ステートメント。
Introductionの読み方・書き方
Introductionで書くこと、書く順番はほぼ決まっています。IntroductionとDiscussionは対でMethodsとResultsセクションという具材をサンドイッチしています。
MethodsとResultsセクションはFACTS(事実)のみを書きます。それに対してIntroductionとDiscussionセクションは著者の「私見」「妄想」(大胆に言えば)を述べます。
学術論文・科学論文が「私見」「妄想」レベルではアカデミックコミュニティでは相手にされません。そこで皆さん一生懸命に文献レビュー(Literature Review)を行い、「先行研究に沿うもの」と称して自身の「主張」に「お墨付き」を与えたり、「過去からこれまでの研究の発展・進展」を要約することで自身の知識量をアピールします。そしてその成果が論文の最後のReferencesになります。
以前某国際ジャーナルの英国人元エディターがインタビューで語っていました。「多くの人が軽視しているようだが、ジャーナルのAccept/Rejectの権限を持つエディター(Editor-in-Chief)はReferencesを重視します。Referencesを一瞥すれば著者がどれだけLiterature Reviewを真面目にやったか、ペーパーのクオリティが高いか低いかが一目瞭然でわかる。どのジャーナル(一流・三流)の誰の論文(レジェンド?無名?)を引用したか、偏っていないか(日本人の書いた日本語のみ、欧米のみ?)、古い(書籍)・新しいか(ジャーナル)、保守的か(多数派)・アグレッシブ(少数派)か等」はベテランエディターがチェックするポイントです。
まれに「夏休みの自由研究」と「科学論文」の違いがわからない臨床医が居ます。夏休みの自由研究にはIntroductionとDiscussionセクションはないです。大学院の英語試験で出題されるのもIntroductionとDiscussionセクションが多いです。リテラシーの高い低いが見られます。
さてここからは具体的に「10分でIntroductionを書く」ノウハウのご紹介です。
下記は文系のサンプルケースです。各サブセクションにご自身の研究を当てはめて書いてください。そうすれば”一般的”なIntroductionが出来上がります。サブタイトルをまず書いてから中身の文を書くのもありでしょう。
【背景あるいは一般論 Background/General understanding】
- 音楽が人の感情に影響を与えることは多くの研究が示している(引用引用引用・・・)。
- 例えば、◯◯(研究者名)は(引用)、・・・・・と述べている。
- また▲▲(研究者名)は(引用)、・・・・・と述べている。
- 音楽感情とは・・・・・・(定義を述べる)(引用引用引用・・・)。
- その応用範囲は・・・・・・に及び、・・・に役立っている。(引用引用引用・・・)
【既知の情報 what is known】
- 肯定的感情が喚起されやすいのは,〇〇の△△であり,否定的な感情が喚起されやすいのは〇〇の▽▽である(引用引用引用・・・)。
- その理由は・・・・・・であると考えられている。(引用引用引用・・・)
【未知の情報あるいは問題提起 what is unknown/problems】
- しかしながら,これら音楽感情に関する数多くの研究にも関わらず、肯定的な感情の一つである癒しと音楽に焦点を当てた研究は少ない。
- ◯◯(研究者名)はその論文の中で(引用)、癒し感情喚起は・・・・・と述べている。
- ▲▲(研究者名)はその論文の中で(引用)、癒し感情喚起理論が実社会でどのように応用可能かを詳細に述べている。
【この論文の目的 Purpose Statement】← 論文で”最も”大切なステートメント
- ゆえに,この研究の最終目的は,”癒し感情喚起理論”の確立である。
- その一貫として、①癒し感情を測定できる質問紙を用い,各〇〇と癒し感情喚起の度合いを調査し,その後,②癒し感情が喚起された〇〇の特徴(引用)、を◯◯等の文献(引用)で調査し、音楽と癒し感情喚起の往還の仕組の解明を議論する。
【研究の正当化 justification】
『このストレス社会において癒しを求める人は増え続け,ストレスが原因と思われるうつの蔓延、自殺、いじめや暴力行為等の社会問題が後を絶たない。またコロナ禍を経験し精神的にも経済的にもストレスを抱える人が多い。癒し感情喚起理論の確立とその実社会への応用は喫緊の課題である。』
滅茶苦茶「(引用引用引用)」が多いのがお分かりになると思います(笑)
そうです文献レビュー・先行研究に”手を抜けば”有用な論文のIntroductionは書けません。
そしてIntroductionの最後の文であるPurpose Statementが論文で最も大切なステートメントであることから力して書かなければならないセクションです。
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