ここ何年か中学生を受け入れるようになってから、多くのご父兄の方(というかお母様ですが)よりご相談を受けるようになりました。 数多くのケースに対応している内に幾つかの共通点に気付きました。英語指導業界では生徒の入校は年二回と言われています。それは新年の誓いを立てる「正月」と新学期や就職移動の「4月」です。しかし当教室では違った波があります。早春と夏前です。
まず教育熱心なご家庭は中学入学を控え早春頃より塾選びを始めるようです。我が教室ですと2月3月の新学期前には(遅くとも4月から)既にレッスンを開始します。 (たった二三か月でさえ早く始めたメリットは大きいです)こういうお子さんたちは一学期でかなり回りをリード出来るようです。何故なら英語は中学で新しく学ぶ教科ですので、通常はアルファベットの読み書きからゆっくり始め、しかも一学期は行事も多く学習カリキュラムをあまりこなせません。
その間当教室では人称やBe動詞等基礎を徹底指導しカリキュラムをどんどんこなして行きますので、一学期の中間・期末テストでは当然皆さん90点以上を取っています。私としてはこの時点で95点以上取って欲しいと思うのですが、何分学習早期では「ケアレスミス」発生がとても多いので、通常レッスンで問題が解ける子でも点数は伸び悩みます。 実はどこの中学でも一学期のテストは初めてということで易しく作っていますので一学期中間テストの平均点は80点台がざらです。 これが2学期からは急に難しくなり平均は60点台に下がります。ですのでこの時点での90点はそれ程立派な事では無く「取れて当たり前」(取れない方が問題)なのです。
それにも関わらず夏頃、というか夏前(テスト前或いはテスト後)に、「学校の授業に着いて行けなくなった」と「駆け込んで来る」親子の多いのにはびっくりします。
こういう場合は「今頃授業に着いて行けなくなったと駆け込んで来ても遅い」と門前払いをしたいところですが、それ以上に子供の側に既に「挫折感、負け組感、英語コンプレックス感」が芽生えてしまっているようで、 (特に最近のお子さんは”打たれ弱い”せいもあり)幾ら励ましてももう重たい足を運んで通って来てくれなくなります。12歳で英語コンプレックス決定では本人はとても辛いでしょう。
昨今のゆとり教育で小学校はゆとりだらけ、成績表さえない小学校もあるのです。それが良い悪いは別にして、親も子供も「自らのレベルが解らないどころか下駄を履かせられている事実を知らない」のです。 しかし中学からは突然熾烈な受験競争が始まります。どんなに楽観的親でも中学に入れば子の学力レベルに目を瞑る訳には行かなくなるのです。中間・期末テストに学年順位が出るからです! 人生は挫折を通して成長するものですが、挫折から立ち直れない子供達の何て多いこと。そうなると今度は「否定」に入るようです。自己否定か他者否定、何れにしろ良い事など何もありません。
どうやったらこういう状況を回避出来るのでしょうか?日頃から家族間のコミュニケーションがきちんとなされていて、何でも率直に話合いが出来る環境が家庭内に整っていれば、ある日突然の「びっくり!」等は起きないように思います。 子供がどういった事に関心を持っているか、どんな悩みを抱えているか観察していれば、ある日突然「くしゃくしゃの答案用紙、しかも0点!」を子供部屋の引き出しから発見することも無いのかな?って思います。 多分その前に「お母さん、学校の授業良く分からない」と正直に話してくれるでしょうから。早めの発見早めの手当、これは病気の治療と同じです!くれぐれも手遅れになりませんように。