このリソース集は、研究者・医療専門職・大学院生が“英語で自らの研究を世界に発信する力”を育てるための実践ガイドです。
最近はAIやSEOライターによる量産記事が増えていますが、ここでは実際の「ジャーナル投稿プロセス」を深く理解した講師による実践的ガイドを紹介します。
英語論文を投稿する前に知っておきたい基本と流れ
実際の投稿プロセス(ジャーナル・サブミッション)は、一般的には、まず秘書がテクニカル・チェックを行い、Editor-in-chief(編集主幹)に回すところから始まります。
✅テクニカル・チェックでは主に以下の確認が行われます:
- 投稿規定・ガイドラインの順守
- 盗作チェック
- ランゲージ・イシュー(内容よりも英語そのものの質が一定の水準に達しているか)
👉 投稿規定やガイドラインはジャーナルサイトにちゃんと書かれています。リテラシー、倫理、教養が問われています。これら初歩段階での却下は論外です。
次に、エディターはその論文がジャーナルの領域(scope)、目的(purpose)や読者層(audience)に合うかを判断し、合わなければこの時点で却下です。つまり科学でなくて「ビジネス・デシジョン」です。
👉 これもジャーナルのEditorial policiesを読めばちゃんと書いてあることですので手を抜かず調べましょう。
次は、エディター・チェックです。
✅エディター・チェックでは主に以下の項目が詳細かつ総合的に検討されます:
- 明確な問題提起(research question)
- 📌関連記事「ジャーナル投稿アクセプトのためのIntroductionの読み方・書き方」で詳しく解説しています。
- 妥当な問題解決(problem solving)
- 明瞭簡潔(clear and concise)で解りやすい議論、深い洞察(in-depth discussion)
- 優れた論理構成(well-written)
- 読者に”実務的価値”(informative, practical , useful)や”興味と関心”(interests, enthusiasm)を提供
👉 さて、「最重要ファクター」は──疑いようもなく「学術的・科学的進歩性 scientific advancement」と「新規性 novelty」の有無 です。
講師の経験では「進歩性・新規性はアピール次第」と思っています。
相手は人間です。「わかってくれない(中二病)」ではなく「わかって貰う努力をしなさい」ということ。
✅いよいよ皆さん戦々恐々の査読プロセスです。
査読でリジェクトされるのは「内容が悪い」からではなく(エディターチェックは通ってるわけですから)、指摘への対応が不十分だったり、修正を怠った場合がほとんどです。
👉 建設的批判は受け止め、単なるディスりはサラリと交わし、情報が足りなければ補い、匿名であっても「人間対人間のやり取り」であることを念頭に謙虚かつ真摯に向き合うことが大切です。
👉 「査読者は読者代表」です。査読者を納得させられないコレスポンデンス著者は読者も納得させられません。
👉 査読対応はケースバイケースです。
“査読コメントへの対応術”“査読対応マニュアル”といったものは、この世に存在しません。
📌ご自身での対応に不安がある場合は、お問い合わせよりスポット単発レッスンをお申込みください。
これら長い長いプロセスを経て勝ち取るアクセプトは研究者のトロフィー勲章です。
その勲章を手にするためには、論文を「通す技術」よりも「伝える姿勢」が問われます。

「わかってくれない」ではなく「わかって貰う努力をしなさい」
(心に響くココペリ名言集より)
目次:英語論文・ジャーナル投稿の流れと準備チェック
英語論文執筆の第一歩は「読むこと」から
💡いきなり英語で論文を書き始めるのは難しいです。まずは英語論文をたくさん読みましょう。
週に1本など、具体的な目標を決めるのがおすすめです。いきなり書き始めるのは失敗のもとです。

書く前に、読む。
(心に響くココペリ名言集より)
良い英語論文を書くための『モデリング』方法
💡英語論文の書き方には共通のルールがあります。優れた論文をモデルにして学ぶ「モデリング」は、研究者として不可欠なトレーニングです。
モデリング(何かしらの対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て同じような動作や行動をすること)ができない人は、研究者に向いて居ません。
他者の論理構造を分析し、自分の論理構築力に変える練習をしましょう。
文献検索のコツ(PubMed・Google Scholarの活用)
🔍 ご自身の研究テーマに近い論文を探すには、以下のような検索テクニックが有効です。
検索の基本:
- キーワードを複数試し、タイトルで絞る
- 「Similar articles 似た記事」「Cited by 引用論文」「Related articles 関連記事」から芋づる式に読む
- Abstract(要約)を読んで面白そうならブックマーク
- 読んだ文献のReferences(引用文献)を辿る
- 「引用数」で論文の重要度・影響度を確認。
🔍 キーワードの工夫
初心者のうちは「何を入力してよいか分からない」という壁があります。
そんな時は、検索バーに思いつく文字を入力してみましょう。すると「候補(suggestion)」が表示され、他の人がどのようなキーワードを使っているかが分かります。これは“英語のボキャブラリー不足”を補う助けにもなります。
絞り込みのポイント:
- 出版年
- 記事タイプ(original paper/reviewなど)
- 著者
- ジャーナル名
🔍いきなりオリジナルの研究論文(original paper)に挑むのではなく、まずは systematic review(システマティック・レビュー) を読むのがお薦めです。
レビュー論文では、すでに複数の研究が比較検討されており、研究トピックの全体像をつかむことができます。文献の抽出方法も書かれていますし、対象の論文をたどることで、重要文献を深く掘り下げられます。
🔍本は古典的なものが多く古いのが難点。文系であれば引用するのは大いにあり。 最新知見が知りたいならジャーナル。過去3-5年などでボリュームが急増していればホットトピック。
🔍著者名をクリックすれば、研究者が過去にどれだけ論文を書いているかが一目瞭然、被引用数もチェックすれば世界クラスの科学者・研究者の実力が伺い知れます。
研究者の専門領域や関心トピックに自分との共通点があれば、将来コンタクトを取って情報交換も出来る。とんでもないビッグネームから返事が返ってくることもあります。
📌関連記事 教授が思わず返信したくなるような“心を打つ研究問い合わせ英文メール”をChatGPTで書いてみた(ChatGPTプロンプト付)
🔍ジャーナル名がわかれば、ジャーナルのサイトで「ジャーナルの領域や目的、編集方針」他の詳細を調べ、将来の「ジャーナル投稿先選定」の一助とします。
ジャーナル・ランキングを見ればインパクトファクター等からアクセプトの難易度が推察出来ます。ランキング低位からチャレンジしていくのが確実です。

まずは、Systematic Review を読むのがお薦め
(心に響くココペリ名言集より)
英語論文の通読・要約で理解を深める
✍️ 興味のある論文を数件選んだら、最初から最後まで通読し、要点を日本語でまとめましょう。
📌論文を一度も通読したことがない人は、論文執筆の準備がまだ整っていません。
アカウント作成と論文の管理
✍️ PubMedやGoogle Scholarでは、無料でアカウント作成ができます。ブックマーク機能を活用して、読んだ論文を整理しましょう。
また、実際に論文に引用するときのために「論文管理ソフト」の導入も検討しましょう。
有料・無料アクセスの注意点
💡Abstractの閲覧は無料ですが、本文は有料の場合がほとんどです。
📌(ダウンロードし放題な)大学などの研究機関に所属していない場合、必要な論文だけを慎重にダウンロードしましょう。
タイトルに釣られてダウンロードしても中身が薄いこともあります。そうした“バッドペーパー”も、「他山の石」として活かしましょう。自分はそうした“バッドペーパー”を書かないよう、常に心に留めておきたいものです。
💡「オープンアクセス(Open Access)」の論文は、著者が費用を払い無料公開しているものです。
英語学習やリーディングの訓練にはこれでも十分役立ちます。
と同時に無料に拘ってばかりいると「有用な論文」は手に入りません。

「他山の石」として、バッド・ペーパーは書かないと誓う!
(心に響くココペリ名言集より)
次回予告
論文検索で「有用な論文かどうかわからない」というお悩みには、次回の記事で詳しくお答えします。
💬まとめ
- 良い論文は「読む→理解する→要約する→真似る」からです。
英語論文 読解・執筆・投稿に役立つ最新記事一覧
英語論文の読解・執筆・投稿、英語勉強法など、実際に役立つ最新ノウハウをまとめています。研究者・大学院生の方におすすめの読みものです。
教授が思わず返信したくなるような“心を打つ研究問い合わせ英文メール”をChatGPTで書いてみた(ChatGPTプロンプト付)
海外の教授や論文著者に問い合わせメールを送るときの英語表現やマナー。ChatGPTで磨く、誠実で印象的な英文メールの書き方を紹介します。
続きを読む今すぐ使える英語/オーストラリアの今を知る:MS AIプラットフォーム「Azure」による”ハルシネーション(幻覚)スキャンダル” #30
法学界や学術界でも、AIが作り出す虚偽の引用や裁判例が深刻な問題になりつつある。
続きを読むジャーナル投稿アクセプトの為の「問題提起 Research Question」の見つけ方
日本人は「正解を言おう」「間違えないように」と考えるけれど、欧米の人たちは「まず言ってみて、あとで直せばいい」と思っている。だから討論でも交渉でも、一歩目が速い。
続きを読む【実例紹介】修士・博士論文を書く社会人大学院生のノート術|英語論文投稿を成功に導く勉強法
英語論文投稿に向けて学ぶ社会人・大学院生の方へ。 忙しい毎日の中で「どうやって勉強時間を確保するか」「効率的に覚えるには?」と悩む方も多いでしょう。 この記事では、病院勤務を続けながら大学院進学を目指…
続きを読むネイティブよりAIより文法に煩い”鬼”英語講師が教える英文法ガイド ― 修士・博士論文・海外ジャーナル投稿を成功に導く―
対話型AI、AI翻訳、AI英文校正等が広く使われる時代。便利なツールで文章は整いますが、「読者に伝わる、通る英語論文」を書くには・・・
続きを読むジャーナル投稿アクセプトの為の”10分で解る・書ける”学術論文の構成(理系・文系/英語・日本語共通):Introductionの読み方書き方
IntroductionとDiscussionセクションは著者の「私見」「妄想」(大胆に言えば)を述べます。…………
続きを読む日本人が英語で論文発表する意義:注目論文日本は10位に。中国は米抜いて1位。
注目の論文(引用数だと思われるが・・・)数がだだ下がり。 ハイテク立国、医療先進国・経済大国という高度経済成長期・バブル期のラベル・モデルは既に過去の物。いつまでも「過去の栄光」にし…
続きを読むジャーナル投稿アクセプトの為の”プロにちょっと近づく”画像制作・編集テクニック②中級編(Elsevier「GUIDE FOR AUTHORS」準拠)
このブログ投稿では2,500誌以上の科学・技術・医学・社会科学分野のジャーナルを発行するエルゼビアの「投稿ガイドライン」、特に「Electronic artwork」のパートを参考に「基本の画像制作、…
続きを読むジャーナル投稿アクセプトの為の”プロにちょっと近づく”画像制作・編集テクニック①初級編(Elsevier「GUIDE FOR AUTHORS」準拠)
研究計画を作成し、地道な研究室での実験、臨床現場での実践研究、大規模実証実験等々を重ね、適宜”怖い/優しい/気分屋”教官の指導も受け、統計処理も行い、論文原稿を執筆し(英語は最…
続きを読むジャーナル投稿アクセプトの為の|翻訳・添削・英文校正・英文校閲・エディティングサービス・ネイティブチェック・投稿代理の違いを知る
アカデミックライティングとは「スキル」、身に付けるものである。 英語のネイティブスピーカーだからといって必ずしも「アカデミックライティングスキル」を身に付けているとは限らない。 Editingは単に「…
続きを読む【コラム】語源で学ぶ医学英単語/Sounds Greek to me.
英語で「ちんぷんかんぷん」とは、「It sounds Greek to me.(まるでギリシャ語のように聞こえる)」と言うのですが、医学用語の殆んどが、ギリシャ語やラテン語由来だったとは。 恐るべし、…
続きを読む【コラム】修士・博士論文|ジャーナル投稿|ノートの活用は頭の活用!
以前通われていた社会人の生徒なのですが、大学で外国人向けに日本語を教えていらっしゃる方でした。その方は”いまどき珍しい(昔は当たり前でしたが。。)” ご自分に…
続きを読む
💰通常90分15,000円 → 初回のみ半額7,500円
初回カウンセリングでは、現在の課題や目標を一緒に整理します。
単発のご相談だけでも歓迎しています。
このページを見た方におすすめ
- 英語論文クラス(サービス概要)
- 研究者・医療系専門職の方を対象に、個別レッスンで丁寧にサポートしています。
- 英語論文クラスで学べる内容と習得スキル
- 具体的レッスン内容と習得できるスキルをご紹介しています。
- 英語論文・ジャーナル投稿の実践ガイド|リソース集① (現在のページ)
- 投稿の流れ、押さえるポイント、新規性のアピール方法など、実践に役立つ情報をまとめています。
- 臨床・医療英語の最新表現とリスニング教材|リソース集②
- 医療・看護・母子保健・栄養・心理など、ヘルスケア専門分野別の最新トピックや英語表現を紹介しています。
- 英語論文の読み方|読むのが“俄然”面白くなる|リソース集③
- 英語論文を“面白く”読む唯一の方法「SVO判定」と、読む力が劇的に変わる文構造理解のコツを解説
- 受講者の成功事例
- 受講者それぞれの努力の軌跡をご紹介します。
- 社会人・大人の為の「やり直し英語101」
- 基礎英語から学び直したい方におすすめです。




