【中高生向コラム③】私立・公立中高一貫校は”6年生の大学予備校”!

何時の頃からか「ゆとり教育」が叫ばれ、いじめや不登校或いは学級崩壊が公立校の大きな問題となりました。学力を含む公立校における指導力の全般的低下を危惧した保護者の間で私立(近年は公立も)の中高一貫校が人気化しました。また昨今の少子化により私立はどこも生徒集めに苦労するようになり、「(保護者が望む)有名難関大学への進学実績を競う中高一貫教育」を旗印にどこも生き残りをかけました。6・3・3制から6・6制に早々と移行したのです。そして「中高一貫校=6年生の大学予備校」とは誰もが認める事実となりました。「小学校でちょっと成績が良く、そこそこの経済的余裕(昨今は産む子供の数を減らしてその分教育にお金をかけます)があれば”誰でもお受験”」をするようになりました。(お母さんお父さん達の昭和の時代は、中学受験するのは決まって家が医者か土地の名士位でした!)振り返ってみれば、我が国の高校進学率は97%を超えており、高校は実質無償化されました。 高校受験等生徒側にも教師側にも多大な負担となるものは早々に廃止すべく公立校も全て中高一貫校にしてしまえば良いものに。そもそも少子化にも関わらず(一部の)大学受験や(大企業への)就職試験は益々激烈化しており、それに対して「文科省のお役人ときたら”霞を食べて生きている”ような困ったズレ方」、「教育委員会の旧態依然」、「日教組のエゴ」、「教師の質の低下」と、保護者の公立離れはこれらに”NO!”を突き付けているのでしょう。

「私立は公立校と違い”学習指導要領”に縛られません」ので現実社会に即した校風による自由な教育が出来ます。学校法人とはいえビジネスでもあります。 そして生徒集めの目玉がどこも「英語教育重視」です。在学中の海外ホームステイも珍しくありません。私立は英語のクラスだけでも3種類(総合・文法・ネイティブによる会話等)あるところがあります。 そしてNHK英語の受講を必須にしているところもあります。 テキストも中高一貫校生向けのPROGRESSや NEW TREASUREを採用している学校が多いです。 どちらも検定教科書ではありません。PROGRESSはミッション系スクールの宣教師である英語教師が導入したもので、「英語で考える力を養う」という点では定評があります。 NEW TREASUREはZ会という塾が作ったテキストで、近年主に進学校で採用されてます。どちらも文法重視でカバーしている語彙ボキャブラリーが公立校採用の三省堂ニュークラウン等検定教科書の3倍とも言われています。 因みに、Z会が考える、大学入試で求められる標準的な語彙数は、基本形方式で4,000~4,500語程度です。NEW TREASURE のStage1~Stage3でその土台となる約3,000語(中学検定教科書では、現行900語、新指導要領1,200語)を身につけることができるそうです。 私個人的にはPROGRESSの方が好きです、何故なら外国人宣教師が作ったテキストなので「英語的なロジカル(論理)・クリティカル(批判)シンキング(思考)」に沿って進めています。 どうも三省堂ニュークラウン、Z会NEW TREASURE含め日本人の作るテキストは「一語一句訳す悪い癖」を植え付けます。私は日頃から「英語で考えろ」を繰り返し強調していますので、 扱うテキストは海外のESL(外国人向け英語学習コース)で使われているネイティブが作った教材です。

いずれにしろ私立・公立中高一貫校は、「ゆとり教育からいまだ脱していない公立校(土曜授業もありません)」と比較して、大学受験を前提とした英語教育を早いうちから始めるのです。 そこで「英語授業に着いていけない生徒が早々と続出」という事態があちこちの中高一貫校で毎年起こります。

私が中高一貫校生徒を受け入れてしばしば感じるのは、そもそも私立・公立中高一貫校の英語重視とは”中味”を伴っているのかということ。 PROGRESSもNEW TREASUREも難易度の高いテキストなので、力のある教師でないと持て余すとは巷の評です。実際三省堂ニュークラウンと併用している私立学校も多いです。 中には、教師の側に大した指導力も無いのに(無いからなのか?!)、難しい教材を何冊も採用しては(採用することに意義がある?!)、毎日物凄い量の宿題を出すか、 はたまた指導放棄か「過去形は自宅でやっといて、休み明けにテストするから」(当然学年順位を壁に貼りだす!恥をかきたくなかったら自分で勉強しろと無言の圧力!)等と平気でのたまう。 さすがにそれは保護者からクレームの電話が殺到(何の為に教師がいるのか?!)してキャンセルになったらしいが(某有名男子進学校で本当にあった話)。 これは極端なケースだが、「本読んで自分で勉強しておいて」は私立では珍しくはない。やれやれ”有名難関大学の進学実績を競うということは軍隊式調練?!”なのかと思ってしまう。 いずれにしろ、私立・公立中高一貫校の謳う「英語教育重視」は、「英語”指導”重視」な訳ではないことを受け皿側として痛感するのである。

区立中学でも限られたリソースで熱意や工夫が感じられる面白い授業を行っている教師(テストを見れば良くわかるし、生徒の満足度が違う)は大勢いるのになあ。 やっぱり私立でも公立でも鍵を握るのは教師の指導力ですよね!

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